アメリカ公認アスレティックトレーナー資格の取得体験

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アメリカ公認アスレティックトレーナーの取得経験

今回、アメリカに渡りアメリカ公認アスレティックトレーナー(Certified Athletic Trainer)を取得して一時帰国している理学療法士の方にお話しを伺いました。

自分の夢、目標をしっかり持ち、行動に移し続ける彼の姿に感銘を受けました。

アメリカ公認アスレティックトレーナーを取得するために必要な大学の入学試験や資格取得のためのプログラム、資格試験を語っていただけました。

アメリカのATについてまず予習したい方⇒”アメリカ公認アスレティックトレーナーとは❓❓”

アメリカに渡米するきっかけ

私は日本で理学療法士を取得し、整形外科で働いていました。

そんな時、東京オリンピックが決まりました。

私の中で、プロスポーツの現場で働きたいという思いが強くなり、そのために今、自分が何をするべきか考えました。

日本のアスレティックトレーナーを取得することも考えましたが、国際大会の現場で働く為には英語+技術が今後需要があると思いました。

偶然、アメリカで公認アスレティックトレーナー(Certified Athletic Trainer:以下ATC)を取得した人が知り合いにいたので、話を聞き、アメリカでATを取得しよう!と決めました。

今やれる事は全てやる!という強い信念を持って渡米しました。


アメリカでの生活

渡米1年目は語学学校で英語の勉強をしました。

ただ勉強するだけでは時間が勿体ないと思い、スポーツの現場へ足を運びました。

そんな折、知り合いからの紹介でメジャーリーガーのトレーナーをさせてもらいました。

渡米2年目に大学へ編入してアスレティックトレーニングの勉強を始めることになりました。

入学試験はTOEFL(英語: Test of English as a Foreign Language)の点数と志望動機を提出するだけでした。

アメリカの大学は、入学は簡単、卒業が難しいです。

私の入学した時の同級生は20人きていましたが、卒業してATCの資格を取得できたのは私を含め7名でした。

ATC取得には4年大学の卒業が必要で、進級試験も容易ではありません。

1教科でも単位を落とせば留年となり、再試もありません。

一発勝負です。

評定はA-Dで、Dは不合格です。進級するためには平均してB以上が必要でした。

必死に勉強し、4年大学を卒業することが出来ました。

最後にあるATCの試験は筆記試験のみです。

試験時間は4時間でした。

学生生活の間に、近隣で開催される学会へ積極的に足を運びました。

アメリカは広いので、車で片道3時間なら近い内です。

何度も学会へ参加し、アメリカを代表するAT やスポーツ医師と知り合いました。

大きな学会だと1週間くらいありますし、ラフな格好で参加できます。

Athletic Training Program(以下AT プログラム)のカリキュラムの一環として、私は所属していた大学のスポーツチームについて実習をしていました。

大学にはアメリカンフットボール、バスケットボールなど、様々なクラブがあります。

それぞれにプロを目指して活動している学生アスリートもおり、設備も日本のプロ並みに充実しています。

午前中のAT プログラムの授業を聴講して、午後からの現場での実習で評価技術や治療の手技などを磨く事が可能です。

私は日本で理学療法士をしていた経験を買われ、ATプログラムに入って1年目から大学専属医師やATの管理下で様々なアスリートを評価及び治療をさせてもらえました。

学費は大学により異なりますが、ATの学校の学費は年間200万円で、入学金は要りません。

有名な私立の大学ほど学費が高い傾向にあります。

ATC(NATA公認のAT)

ATCは米国準医療従事者です。

アメリカのATCは、スポーツの現場に必要とされています。

幼少期からATのサポートの元、スポーツを行うことができます。

私の通っていた大学のATの話になりますが、ここでは主に大学のスポーツチームのトレーナー業です。

各チーム別、競技別にATCが専属でサポートしています。

大学によってはATC以外にもDr、スポーツ心理士、管理栄養士などが常駐しており、学生アスリートをサポートします。

練習や試合中に選手がケガした場合はすぐにATCが評価し、医師へ報告するのが仕事です。

もし医師が不在の場合には、ATCが評価して応急処置や治療の判断を行うこともあります。

他には、術後の治療もATCの仕事です。

アメリカでは在院日数が短いため、術後の選手も10日程で退院して、場合によっては大学でリハビリを行います。

もちろん、トレーニングルームも完備されているので、ATCやその他のサポートを受けながら選手復帰を目指します。

ケガした選手の加入している保険の確認もATCが行っています。

アメリカは国民皆保険ではないので、一定の医療を誰もが平等には受けられません。

個人で加入している保険を利用して治療費を賄います。

治療や検査の前には、必ず保険の確認が必要になります。

アメリカの学校の夏休みは3カ月と長い為、トレーニングキャンプが行われており、主にATCや Certified Strength and Conditioning Specialists (CSCS)が指揮をとって行っています。

トレーニングキャンプの主な目的は、学生アスリートの身体つくりです。

ケガしない身体を作る事がアメリカにおけるスポーツ医学の基本とされており、学生の時から丈夫な身体を作り上げていきます。

アメリカのATCの年収は日本円に換算すると約500万円です。




これからアメリカでATCを目指したい方へ

私は英語も全く話せない所から、渡米しました。

上司や先輩、周囲の方からは「今更そんな事必要なのか、、、」とも言われましたが、今は自信を持って行って良かったと言えます。

なにより、目標としていた東京オリンピックへ携わる夢が、実現しそうな所まで来ています。

また、アメリカでの出会いも今の私にとって一生モノです。

アメリカのオリンピックに帯同された ATCの方々やスポーツ医師、世界的にも有名な多くの研究者に出会うことができたのはあの時アメリカへ挑戦したからです。

挑戦する権利は誰にでもあります。

それを否定する権利は誰にもありません。

是非留学を考えている方や新しいことに挑戦しようと考えている方は是非行動に移してほしいです。

余談ですが、現在、アメリカでATCになるには4年制大学が必要です。

しかし、今後は修士課程にてATプログラムを履修しなければ受験資格を得られなくなるため、 ATプログラムに入ること自体が難しくなっていくかもしれません。

コメント

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